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20/06: コピーとオリジナル…
コピーとオリジナル…かぐや姫の要求を満たすべく贋造を試みた三名に関して、彼らはそのペテン性を内心で恥じていたのでしょうか。答えは否、紫式部によれば、蓬莱の珠の枝の贋造は文献資料のたいそう深い読解に基づいて制作されたと評価される。ただ、詞書(宝物の由来となる庫持皇子の創案した冒険譚)に疵を認めているばかりである。所望品が最初から文献上の想像物であることは読者に知られており、当時の常識に従って物語は読み進められていく。この世のものではないというのは、紙の上のものという意味で、物語の枠組とともに同じ紙の上に記されるのだから、ゆくゆくは両者間の区別は意味がないということになりかねない。こうして上方から塗り込められて下層に埋もれ視界から消えたものの中にオリジナル自身ではないオリジナルへ通じる途があるだろう。En savoir plus ...
14/06: 器量のわるい娘の描写…
紫式部が思い描く末摘花には特定のモデルはあったのだろうけれど、それが高位の家柄の姫であったのかどうか。流行遅れの几帳面な書体で歌を返す姫,深窓育ちで世のすべての事柄に疎いというよりは、時を経て色褪せた古紙然として他と唱和しえない鈍さのように見える。絵合で、絵は巨勢相覧、手は紀貫之になる竹取物語は、流行様式で装丁されたうつお物語に破れている。末摘花→紅鼻の姫に於て、なよ竹のかぐやひめの不鮮明な容姿の具体的な描写が構想されていたかもしれない。若い娘の着るようなお召物でないというあたりは、じっさい老女が若い娘に身をやつしていたからとの印象もある。紫式部の書き方はあまり趣味がよいとは言えない。13/06: ヒットラー最後の12日間
原題はDer Untergang、ベートーベンの第9シンフォニーに使用されたシラーの詩「歓喜に寄す」にこの語が見える。昨夜の上映後の質疑応答で、ブルーノ・ガンツの発言、微かなオーストリア訛りでヒットラーの言葉を再現しようとした、という部分に一番惹かれました。発言からはその訛りがドイツ語とどう違うものなのか窺い知ることはできなかったけれど,
09/06: 源氏物語・絵合では…
源氏物語・絵合では、右方のうつお物語の左方に竹取の翁の物語を配して優劣を競います。ここでのリスティングとは新たな物語編集といえないでしょうか。火をつけても燃えないと伝えられる唐土の火鼠の皮衣も、現代の最先端科学を使って大量生産されよう、といった場。書き物の空想を共有できた時間とそれができなくなった時間の併置は、後者による前者の包含の痕跡としての影を生じさせて、その影は爾後古い方の物語に付属することになる08/06: この世の者ではない姫は…
この世の者ではない姫は、迎えにきた月の国の中将に天の羽衣を着せられた途端、この世でのすべての記憶を失ってしまいます。月の国の人々に感情はないのです。先だっての求愛者たちが所望の品を持参するのではないかと怯えたり、やがて安堵したり、という姫の振舞いはじゅうぶんに人間臭いものであったというのに、何故か本当の感情とは受けとれない、この世の養父である翁に筋道立った弁明したり、彼らに皮肉な修辞が込もる和歌を返したりは、感情の起伏とは一線を画す冷静な振舞いに見えますが。07/06: 竹取の翁と妻の媼は…
野山の竹の中で見つけたうつくしい姫を、たいせつに育てました。わずか一寸ばかりであった姫はすくすくと育ち、三月で大人の女性になりました。たとえようもなくうつくしい姫の噂は世間に広まり、求婚者がどっと押し寄せます、そのなかでも特別に熱心な五人の貴公子は、冬の寒さも夏の暑さもものともせずに文を送り通いつめて、翁にまだ見ぬ姫と婚うことを懇請するのですが、姫はなにごとにも無反応、皆を憐れに思った翁が姫を諭すと、わたしの望みを叶えた者と婚いましょうといい、石作皇子には仏の御石の鉢、庫持皇子には蓬莱の珠の枝、右大臣阿倍御主人には火鼠の皮衣、大納言大友御幸には竜の頸の珠、中納言石上麻呂足には燕の子安貝をと、それぞれに命じたのです。じっさいそれらはすべてこの世の中では入手不可能でした。En savoir plus ...
28/05: 自分自身を描く
ヴィスコンティが自分自身を描いていたというのはどういう意味でしょうか、投影というと、作家と演者、両者のアイデンティティの曖昧さが観客にまで意識の混乱を及ぼすような、一時期のトリュフォーとジャンピエール・レオーの関係性を想像します、ヴィスコンティの場合、理想をいうなら演技面はダーク・ボガードで素材面はアラン・ドロン、その許容限度内での分裂を抱えた状態で映画を作ってきたのではないかと、多かれ少なかれ演者への「投影」に失敗し続けたのではないかと思います、もしもドロンのマスクにボガードの演技術を備えた人物がいたら、彼をヴィスコンティと同一視していたかもしれませんEn savoir plus ...





