14才のハードキャンディ(未成年女子のスラング)のスタンガン攻撃に悶絶して浴槽に沈んだ30男。小娘に怪しいドラッグを盛られて以降の男の言動は、出し抜けのものであれ、悪足掻きであれ、説き伏せであれ、罠から罠へ、今抜けたばかりの爪先からめり込んでいく心身麻痺の道程を示す。刃物やスタンガンで女が男を痛めつけるアイデアは同時代の日本の女子高生のオヤジ狩りが出所らしい。オヤジ狩り自体は男女を問わずグループで単独の被害者を襲うものである。1時間44分の本作品の登場人物はほぼ二人だけ、シーンもほぼ男の家だけである。タブロイド紙受けのネタとはややズレた処で通常のやられる側がやる側に、やる側がやられる側にと、シチュエーションの意外性を保ち物語は進行する。



ヘイリー:カメラを持つと平面のイメージがわくの? 
ジェフ :詳しいね  
ヘイリー:私はオタクだもの、本を持ち歩いていつも読んでるの  
ジェフ :今読んでるのは?  
ヘイリー:あなたの心の中  
クリックで拡大

32才のジェフと14才のヘイリーはインターネット・チャットで知り合って3週間である。カメラマンのジェフのハンドル名はレンズマン319で学生のヘイリーは鞭ギャル様14。二人はリアル・コーヒーショップで落ち合って意気投合し、ジェフの家へ写真撮影に向う。いざ撮影の段になると、カクテルに仕込んだドラッグが効いて失神する。次に意識を取り戻すと椅子に固縛されている。もちろんレンズマン319のことである。

PCを離れて現実の男の家に移動した後も、相変わらずチャットの延長上であるかのような外界への無頓着である。ロサンジェルス郊外のクールなミッド・センチュリー・モダーン・リミックス空間は近隣の3軒先まで人の気配がない。彼らはそこでなりたいものになり変る。ときにセラピストと被験者となり、探りあてたい相手の思惑に半ば乗りかかってみせる。ときに汗と涙と鼻水を撒き散らして、相手の思惑を頓挫させる嘘固めに興じる。いったい何やってんだ?。エスカレートする口から飛び出したコトバを信ずるならば、これってゲームなのかも:ゴールドフラップは好き/嫌い?、ゼイディー・スミスを読む子供って?、モデルと写真家のプライベートライフについて?、少女の猥褻画像はどこいった?、跳上げと蹴飛ばし、威嚇と拷問、去勢用手術用具は一式揃ってますって、贋造される遺書、拭き取られる指紋、遅過ぎた自白、屋上への梯子、縛り首のロープ等、制限時間内に納まりきりそうにないゲームの種にイチイチ歯を剥き血を流して、ほとんど死にもの狂いである。レンズマン319のウィークポイントとしてゲームのキーウーマンという設定の美人モデル、ジャネルを呼んで終りにする?、ムリGEEE〜、今となっては掃いて捨てるほどの“アノ女”のひとりにすぎないとバレちゃってたらどうする——なあんてね—っと、揶揄う声がある限り終らないマゾヒストの白日夢と言ってしまうのはスッキリし過ぎだろうか

                 クリックで拡大