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23/06: 地獄変

中村錦之助がとてもきれい、絵巻物の世界の貴族そのもののよう*1

大正デモクラシーのまっ只中に青春時代を過ごした豊田は、原作をこの時期に読んでいたことだろう。吉秀を帰化人にしたのは、原作にはない設定で、理由は何だったのか。近年のアカデミックな考証の成果が加味されたものか、あるいは当時の在日朝鮮人の記憶とリンクするものであるのか、原作では実際に目にしたものをしか描ない画家が妄想に魘される辺に、小説家のイマジネーションの凄みが感じられる



  • 注1内の梅花の宴からの御帰りに御車の牛が放れて、折から通りかかった老人に怪我をさせました時でさえ、その老人は手を合せて、大殿様の牛にかけられた事を、難有がったと申す事でございます。--芥川「地獄変」--


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22/06: 手紙を書くのにシャープペンシルを使いたい

最初はどうしても文字の大きさや細さが不揃いだったりするので、汚い字になりがちだけれど、何度か繰り返しているうちに辷りはじめる。すらすらすらっと、相変わらず汚い文字ながらも、個性的なと云えなくもないから嫌ではない、ボールペンだったら、こちらの意図と無関係な要因、例えば気候や気圧に関係してか、突然インクが出なくなることがあるから嫌、シャーペンの芯は筆圧と直接関係していて折れる瞬間の予感がある

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21/06: 大工太平記

当時テレビで人気を博していたタレントが大挙出演している、彼らのほとんどはそうでもないというのに、なぜか主演の森繁や乙羽信子等映画育ちの人のオーバーアクションがすぎる。なんなんだか

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20/06: 霧の旗/1978

予告編から観たこの映画の印象は、純愛カップルが汚濁しきった社会よって引き裂かれて行く感じである。本編はまるで違っている。17歳という年齢に似つかわしくない妖艶な悪女に山口百恵は仕上がっている。黙っているとそれらしいけれど、口を開くと悪女の科白が全くと言っていいほど回らない棒読みで幼さが顕われてしまう。ちょうどきわどい歌詞を持つ初期のヒット曲を聞いたときの感じ。ファムファタールになり得てはいない。映画のスジの運びはとても明快、若年層を狙ったせいだろうけれど、深みがないので、やや退屈。なんでこの映画のタイトルは霧の“旗”だったのかしら

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20/06: コピーとオリジナル…

コピーとオリジナル…かぐや姫の要求を満たすべく贋造を試みた三名に関して、彼らはそのペテン性を内心で恥じていたのでしょうか。答えは否、紫式部によれば、蓬莱の珠の枝の贋造は文献資料のたいそう深い読解に基づいて制作されたと評価される。ただ、詞書(宝物の由来となる庫持皇子の創案した冒険譚)に疵を認めているばかりである。所望品が最初から文献上の想像物であることは読者に知られており、当時の常識に従って物語は読み進められていく。この世のものではないというのは、紙の上のものという意味で、物語の枠組とともに同じ紙の上に記されるのだから、ゆくゆくは両者間の区別は意味がないということになりかねない。こうして上方から塗り込められて下層に埋もれ視界から消えたものの中にオリジナル自身ではないオリジナルへ通じる途があるだろう。

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14/06: 器量のわるい娘の描写…

紫式部が思い描く末摘花には特定のモデルはあったのだろうけれど、それが高位の家柄の姫であったのかどうか。流行遅れの几帳面な書体で歌を返す姫,深窓育ちで世のすべての事柄に疎いというよりは、時を経て色褪せた古紙然として他と唱和しえない鈍さのように見える。絵合で、絵は巨勢相覧、手は紀貫之になる竹取物語は、流行様式で装丁されたうつお物語に破れている。末摘花→紅鼻の姫に於て、なよ竹のかぐやひめの不鮮明な容姿の具体的な描写が構想されていたかもしれない。若い娘の着るようなお召物でないというあたりは、じっさい老女が若い娘に身をやつしていたからとの印象もある。紫式部の書き方はあまり趣味がよいとは言えない。

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13/06: ヒットラー最後の12日間

原題はDer Untergang、ベートーベンの第9シンフォニーに使用されたシラーの詩「歓喜に寄す」にこの語が見える。
昨夜の上映後の質疑応答で、ブルーノ・ガンツの発言、微かなオーストリア訛りでヒットラーの言葉を再現しようとした、という部分に一番惹かれました。発言からはその訛りがドイツ語とどう違うものなのか窺い知ることはできなかったけれど,

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09/06: 源氏物語・絵合では…

源氏物語・絵合では、右方のうつお物語の左方に竹取の翁の物語を配して優劣を競います。ここでのリスティングとは新たな物語編集といえないでしょうか。火をつけても燃えないと伝えられる唐土の火鼠の皮衣も、現代の最先端科学を使って大量生産されよう、といった場。書き物の空想を共有できた時間とそれができなくなった時間の併置は、後者による前者の包含の痕跡としての影を生じさせて、その影は爾後古い方の物語に付属することになる

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08/06: この世の者ではない姫は…

この世の者ではない姫は、迎えにきた月の国の中将に天の羽衣を着せられた途端、この世でのすべての記憶を失ってしまいます。月の国の人々に感情はないのです。先だっての求愛者たちが所望の品を持参するのではないかと怯えたり、やがて安堵したり、という姫の振舞いはじゅうぶんに人間臭いものであったというのに、何故か本当の感情とは受けとれない、この世の養父である翁に筋道立った弁明したり、彼らに皮肉な修辞が込もる和歌を返したりは、感情の起伏とは一線を画す冷静な振舞いに見えますが。

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07/06: 竹取の翁と妻の媼は…

野山の竹の中で見つけたうつくしい姫を、たいせつに育てました。わずか一寸ばかりであった姫はすくすくと育ち、三月で大人の女性になりました。たとえようもなくうつくしい姫の噂は世間に広まり、求婚者がどっと押し寄せます、そのなかでも特別に熱心な五人の貴公子は、冬の寒さも夏の暑さもものともせずに文を送り通いつめて、翁にまだ見ぬ姫と婚うことを懇請するのですが、姫はなにごとにも無反応、皆を憐れに思った翁が姫を諭すと、わたしの望みを叶えた者と婚いましょうといい、石作皇子には仏の御石の鉢、庫持皇子には蓬莱の珠の枝、右大臣阿倍御主人には火鼠の皮衣、大納言大友御幸には竜の頸の珠、中納言石上麻呂足には燕の子安貝をと、それぞれに命じたのです。じっさいそれらはすべてこの世の中では入手不可能でした。

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