20/07: 黒猫

1934年のユニヴァーサル映画『黒猫』はきわめて風変わりな映画である。それを一口でslyな映画と表わせてしまえるにもかかわらず、だからといって単純な作品と言い切ることが不可能という「曇りない曖昧さ」に包まれた不可解な映画である。既にフランケンシュタインを演じたボリス・カーロフとドラキュラを演じたベラ・ルゴシの両怪優の共演作としても知られてる作品ですが、彼らが演じたのは怪物フランケンシュタインやドラキュラとは正反対に、明快なキャラクタを欠くことで得体が知れなくなっている人物たちです。「曇りない曖昧さ」というと作品へのプロデューサの干渉を排する目的でショットを細かく撮り分けて編集困難にしたというヒッチコックを思い出しますが、やや似てるもののこちらの方が遥かに構造的かつ重層的な気がします。最初のトーキー作品と云われる『ジャズシンガー』が撮られたのは1927年ですから34年当時のハリウッドで無声映画一般は過去のものだったことでしょう。この時代風潮にあからさまに逆らって撮られたのが『黒猫』ではないかと思います。つまり、トーキーで撮られたサイレント映画というわけですが

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