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31/03: ハードキャンディ Hard Candy (2005)

14才のハードキャンディ(未成年女子のスラング)のスタンガン攻撃に悶絶して浴槽に沈んだ30男。小娘に怪しいドラッグを盛られて以降の男の言動は、出し抜けのものであれ、悪足掻きであれ、説き伏せであれ、罠から罠へ、今抜けたばかりの爪先からめり込んでいく心身麻痺の道程を示す。刃物やスタンガンで女が男を痛めつけるアイデアは同時代の日本の女子高生のオヤジ狩りが出所らしい。オヤジ狩り自体は男女を問わずグループで単独の被害者を襲うものである。1時間44分の本作品の登場人物はほぼ二人だけ、シーンもほぼ男の家だけである。タブロイド紙受けのネタとはややズレた処で通常のやられる側がやる側に、やる側がやられる側にと、シチュエーションの意外性を保ち物語は進行する。



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20/12: それでも恋するバルセロナ Vicky Cristina Barcelona (2008)

ヴァカンスでスペインにやって来たヴィッキーとクリスチーナは女性スキャンダルの渦中にある画家と出会う。そこから一人の男と二人の女の一過性の恋愛遍歴が語られる。じつは男と彼の前妻とは同じアーティスト同士の生活から来る緊張の緩衝域を形成するべく、つねに三角関係の第三項(女性)を必要としており、通りすがりのアメリカ娘のカップルは、そうとは知らずに彼らのボヘミアン生活に巻き込まれていく。彼らの仕掛ける陥穽は自然発生的なクリシェであるが、その結託ぶりにカメラは立ち入ることはしないので不道徳や退廃臭はほとんどない。W.アレン脚本の饒舌さに誘導され、いくぶんかストーリィにとって異質な次元の出来事として冒頭から繰返される風景のパンの無頓着を装って流される。



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21/01: 『隠し砦の三悪人』 THE LAST PRINCESS (2008)

少し前にDVDで『椿三十郎』のリメイク版(2007)を見たとき、脚本や台詞やストーリィ展開がオリジナル版と見分けのつかない既視感に襲われた。そうした場合、両者の違いを主演俳優のキャラクターの差に帰したくなる。単純に剣豪らしくない織田裕二はいかにも強そうな素浪人の三船に比べてつまらないと思った。今回の三悪人がまた黒澤の同名作のリメイクでオリジナル脚本をクレジットしているということで、こちらもそういうことかと思ったが意に反してそうではなかった。



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21/05: 『ブラック・ダリア』The Black Dahlia(2006)

数年前にエルロイの原作を読んでいるにも拘らず、全くストーリィを思い出せない。理由は単純につまらない原作だったからで済ませるとして、映画化された作品を見ることで目鼻立ちも定かならぬその「詰まらない」美女と再会を果たすのであろうか。


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23/02: 『夜よ、こんにちは』Buongiorno, notte (2003)

1978年3月16日、極左政治集団ブリガーテ・ロッソ【赤い旅団】によって誘拐された伊首相アルド・モロは55日間の監禁の後、5月9日に遺体で発見された。映画は今日まで多くの謎を残す現代イタリア政治史上の重要事件を扱うが、監督のマルコ・ベロッキオはプレス・インタビューに次のように答えている。

(略)…歴史家ではないものですから、実際に起こった事実のほうではなくて、これまでにない新たな手法で物語を語ることにより関心があります。…(略)

:オフィシャルサイト:インタヴュー

その言葉通り、事件を描くための必須の要素として脚本家を兼ねる監督は女性テロリストという虚構の存在を物語に導入する。彼女は昼間は公立図書館に勤務し、帰宅後はアジトであるアパートメントに隠匿中の人質や仲間のテロリストたちの身の回りの世話を焼く二重生活のお蔭で、内/外の世界に通じる特別な視点を保持する。9-11テロが起こった時、既に作品に取り掛かっていた監督は、70年代の極左テロと21世紀の無差別テロとをパラレルに描くアイデアをも抱くのであるが実現には至らなかった。二つの事件を“孤児”*1を接点として捉え返そうとしていたらしい、またそれも興味深いことのように思われる。



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20/02: 『哀愁の花びら』Valley of the Dolls (1967)

見えない友情を緯として、ショービジネスの世界に飛び込んだ三人の女性(ニーリー/ジェニファー/アン)の三様の運命が綴られていく。一人は豊かな歌唱の才能を持ちながらスターの座を掴むと同時にアルコールとドラッグで自滅していく。もう一人は才能は全くないが見事な肉体の持主、セックス映画でスターとなるが、乳癌であることを知り手術前日に自殺する。最後の一人は…彼女に関わる部分が作品の最大のウィーク・ポイントに見えてしまった。ニューイングランドで育ち、名門ラドクリフ女子大を卒業し、婚約者もいて順風満帆で、それでも田舎の平穏な生活に飽き足らず独立した生活を求めてニューヨークへ旅立つ。ブロードウェイの芸能人専門の法律事務所に職を見つけてショービズと関わるうちに、ハンサムなエージェントと出逢って恋に落ちるとか、クライアントのスポンサーにスカウトされてヘアスプレイのTVコマーシャルに出演するとか、本音をさらけ出すバックステージの人間関係から懸け離れたハーレクィン風ヒロインとして一人だけ異質である。


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17/12: 『命果てる日まで』1966・前編

この作品は三田明主演のアイドル歌謡路線『恋する年ごろ』を併映作品として1966年11月26日に公開されている。しっかりと固定ファンがついていた大船調メロドラマの予備軍というべき若年層(ティーンエイジャーから適齢期の未婚女性)開拓を狙った番組のようである。ヒロインとその妹に生田悦子(準ミス平凡)と尾崎奈々の新人女優が起用されている。特別出演の岩下志麻、桑野みゆきといったこの路線の看板スターたちが顔見せ的に要所に配置されていることから期待の新人のデビュー作品だったことがわかる。またタイトル『命果てる日まで』は同ジャンルのヒット作『あの波の果てまで』、『あの橋の畔で』等を漠然と想起させたりもする。



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07/09: 映画における作者の意図と『隠し砦の三悪人』

映画における作者の意図というものは厄介なものです。理由は単純で小説とは違い分業体制にあるものだからです。それでも制作者の意図というものはあると思われています。*1


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20/08: 浮雲の夢

「妾伊豆を出る時伊香保で死のうと考えていたの、でも今は忘れたわ、屋久島へでも何処へでも付いていくわ、だからあなたも女の梯子は止めてね…」*1 今日は成瀬巳喜男の百一才のお誕生日。やはり東京の残暑は厳しかった。



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17/06: 『フライトプラン』Flightplan (2005)

蒼褪めた母娘がベルリンの地下鉄を、エアポートを徘徊している。冒頭から発散される彼らの空気の希薄さは、後に起こる出来事の重要な伏線である。観客がそのことに気づくのは事件が発生して充分に時間が経過してからである。観終わってみれば“幽霊の正体見たり枯尾花”とはいえ、ひょっとして母親の幻覚に遊ばれているのかもと思い当たった人は少なくないだろう。【以後ネタバレがあります、注意しましょう】


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